スピン☆オフ
「…嘘でしょ。」


体中に一気に緊張が走った。


「誰だよ。唯の知り合いか?」


何気なく尚吾が聞いた。


「お兄ちゃん。」


「はぁ?お兄ちゃんて…。」


見間違いなんかじゃない。


まぎれもなくお兄ちゃんだ。


「この間の話で、どんなにいい人なんだろうと思って、美緒にお願いしたんだ。」


「あぁ~。」


丘芹や亮太も完全に引いてる。


「ごめんね。待たせて。」


なにくわぬ顔でイスに座ると、チラリとあたしを見た。


「大丈夫だよ。それより、忙しいのにごめんね。」


美緒と智香の目は、完全に王子さまを見るかのよう。


コツンと、あたしの腕を亮太がヒジでつついた。


「マジで格好良すぎだろ?!」


ボソリと一言。


あたしは完全に固まってる。

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