スピン☆オフ
私の目の前に、力いっぱい興信所の書類を叩きつけた。


そこには、じいさんの親類が調べた私とじいさんの関係が書かれた書類と、証拠写真が入っていた。


「だからなんなの?私は3億で買われたのよ?」


きつく言い返す。


「知ってたのかよ……。」


唇を噛み締めて俯いた。


「なにが?」


意味の分からない私。


「オレの、爺ちゃんだって知ってたのかよ?!」


「…嘘でしょ?」


びっくりして、言葉なんか出なかった。


「嘘なんかじゃねえよ。家に帰ったら、こんなのが置いてあって。」


「知らないわよ。大体、客で知り合ったのよ?」


「………。」


尚吾君は、何も言わず飛び出して行った。


…そうよね。


私もビックリしたわ。


まさか、尚吾君のおじいさんだったなんて。


尚吾君も、複雑な気持ちだったでしょうね。


でも、私には借金から逃れられるのは、その選択しかなかった。


一生、借金地獄か?


愛人生活か?


愛人生活なんて、じいさんが死ぬまでだから。


中学生の尚吾君には、理解できなかったの。


それから尚吾君の女遊びが激しくなった。


喰っちゃ捨て、喰っちゃ捨て…。


それと同時くらいに、両親が亡くなったの。


父は、過労。


母は、心労で次々に。


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