スピン☆オフ
それを機に、秀一と尚吾君が警察にお世話になる日々。


いっつも、頭を下げて迎えに行くけど、こんな姉だから説得力なくてね。


逆に、私が怒られちゃって…。


いつの間にか、尚吾君は家に帰らなくなったし。


秀一も、女の子と遊びまわってる。


私の事があって、本気で女の子を好きになれないの。


じいさんも亡くなって数年。


なのに、いまだに私達にはシコリがある。


----たまに、思うの。


私は尚吾が好きだったんだって。


今になって気付いて後悔してるの。


笑えるよね…。


手に入れたはずの自由なのに、なくした物が大きかった。


「だから、私は1人で生きていくしかないのよ。」


お姉さんは、笑いながら話してくれた。


すごく、辛い事なのに。


このお姉さん強いな…。


あたしだったら、絶対に耐えられないのに。


「あたしは…………。」


どうしていいか?


なんて言葉をかけていいのか分からない。


「脱走なんて尚吾君がするくらいなんだから、言えないくらい辛い事があったんでしょ?まして、ここに連れてくるんだから、相当緊急なんだなって分かるから。」


あたしは、なんだか嬉しくなった。


痛みを分かってくれる気がして…。


いつの間にか泣いてて、お姉さんに打ち明けていた。


お姉さんは、うなずきながら優しく抱きしめて、あたしの話を全部聞いてくれた。


「辛かったでしょ?苦しかったのに、良く頑張ったね。」


そう言って、頭をなでてくれた。


「うん。うん。」


涙ながらに、何度もうなずいた。


「ただ、これだけは覚えておいて。尚吾君は、何があっても軽蔑なんかしないし、まっすぐに見ていてくれる。」


「本当に?」


「ええ。あのコも、強くなったから。それに…。」


くすっと笑った。

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