スピン☆オフ
「なにがですか?」


「心配で、尚吾君に電話しちゃったの。」


「別に謝ることじゃ…。あたし関係ないし…。」


「ありがとう。喧嘩したのかと思ったら、違うのね。」


「なんか、自分でもよく分らなくて。」


ここまでの事や、自分の気持の事。


上手く説明できないけど、思ったようにお姉さんに話した。


お姉さんは、真剣に話しを聞くと、あたしの話が終わると同時に『クスッ』と鼻で笑った。


「なっ、何がおかしいんですか?」


少しムキになると、お姉さんは小さく横に首を振った。


「ごめんなさい。そうじゃないの…。」


「じゃあ、なんですか?」


「唯ちゃん、尚吾君が好きなのね。」


「はぁ~?」


どこをどうしたらそうなるのか…。


「それって、嫉妬っていうのよ。」


「嫉妬?」


「尚吾君が好きだから、他の人と仲良くしてるだけでヤキモチ妬いちゃうの。」


「そ…そんなんじゃ…。」


「あら、自分に正直にならないと、なにも解決しないわよ。」


ほろ酔いのお姉さんが、身を乗り出してあたしの顔を指差した。


「お姉さん、酔ってるでしょ?」


笑い飛ばすあたし。


「素直じゃないんだから。恋っていいものよ?」


いじけた顔をして、ビールを飲み干した。


ドキドキしちゃって、お姉さんの言葉に照れてしまう。


ビールのせいなのか?


「だけど、あたしは…。」


お兄ちゃんの事とかあって、恋なんてできないでいるのに。


「…そろそろ、唯ちゃんも幸せになっていいと思うけどな?」


真っ直ぐに、あたしの顔を見た。


こんなにも、言葉が重く心にズッシリと響いたことはなかった。

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