スピン☆オフ
「なに?話って…。」


秀の雰囲気に、あたしの声は怯えてた。


「…尚吾と何かあったの?」


いつもの秀とは違い、冷たく睨みながらあたしを見てる。


「別に…。何にもないけど?」


「ならいいんだけど…。なんか、様子がおかしかったからさ。」


「気のせいじゃない?」


「そっか…。尚吾とは、うまくいってるのか?」


「……急にどうしたの?うまくいくも何も、見たままだよ。」


「…………。」


秀は、黙ってうつむいてしまった。


あたしも、話すこともなく、秀の隣で壁にもたれて黙り込んだ。


「……なぁ、今でもアイツが忘れられないの?」


突然沈黙を破ったと思ったら、忘れかけてた事をグサッと刺してきた。


「別に…。なんで、急に霧生の話になるわけ?」


動揺を隠しながら答えた。


「いや…。尚吾とくっつかないのは、まだ未練あるのかと思ってさぁ。」 


「そんなんじゃないよ。」


ひけらかして笑った。


だって、本当の事なんて言えないから。


「だったら、いいんだけどさ。……じゃあ、ひとつだけ教えておくよ。」


「なに?」


「ちょっと情報入ってきてさ、霧生だっけ?……事故で亡くなったらしいよ。」


秀の言った意味が分からなかった。


----霧生が死んだ?

----事故で?


そんなの、あるはずがない。


目の前が真っ白になって…。


立っていることもできなくて、ベッタリと廊下に座り込んだ。


「…嘘だよ。…………霧生が、死ぬわけないじゃん。」


---ポタッ。

----ポタッ。


座り込んだ膝の上に、大きな涙の粒が次々に弾けてく。

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