スピン☆オフ
「あっ、尚吾君?今どこ??……ちょっと来てくれないかな?」


勝手に、話は進んでいく。


3分も話さないうちに、お姉さんは電話を切った。


「本当に、あたしは尚吾とは…。」


お姉さんの顔が見られない。


お姉さんは、ポンッとあたしの肩を叩いて、にっこり笑った。


「嫌だって言っても、もう呼んじゃったから。」


それだけ言うと、部屋に戻って出てこなかった。


あたしは、どうしていいのか分からなくて。


戸惑いながらその場から動けなかった。


お姉さんの好意は嬉しいけど、今は尚吾に会いたくない。


会ったら自分の気持ちが暴走しちゃいそうな気がした。



それなのに、ほんの10分だった。



-----ガチャ-------


玄関の開く音がした。


一歩一歩近づいてくる尚吾の気配を感じる。


ドキンッ-----

ドキンッ-----


緊張と不安であたしの心臓が高鳴っている。


カチャっと廊下のドアが開いた瞬間。


…パチッ!!!!


尚吾と目が会った。



あ………。


お互い、口には出さずに、口がポッカリ開いてる。


「……姉ちゃんは?」


一番最初に口を開いたのは尚吾。


「あっ………ん…。」


何も答えられずに、ソファから立ち上がってお姉さんの部屋を指差した。


その途端、ボロボロとワケもなく涙が溢れてきた。


「どうしたんんだよ?!」


いつもなら、そう言って心配してくれるはずなのに…。


何も言わずに、うつむいたままお姉さんの部屋に入っていった。


やっぱり、終わりなんてあっけないものだ。


もう、あたしと尚吾はどうなる事もないと実感した。



----あたしが、ハッキリしなかったから。


これでよかったはずなのに。


分かってたはずなのに…。


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