スピン☆オフ
「人質なんて人聞きの悪い。」


尚吾とは真逆に、冷静なお姉さんの声。


「人質だろ?!オレが姉ちゃんの言う事聞かなかったら、唯を…アイツの兄ちゃんに渡すんだろ?!」



…………今…何て言った?……



あたしのお兄ちゃん?


引き渡す?………


「当たり前でしょ?家出少女は、お家に帰さなきゃじゃない?」


嘘でしょ?!


お姉さんは、そんなこと言う人じゃない!!


聞き間違え?


それとも、他の人なの??


あたしの知ってるお姉さんじゃない…。


それなのに、否定したいあたしの耳に、容赦なく現実が聞こえてくる。


「それが出来ねぇから、ここにいるんだろうが!」


「それもそうよね…。お兄ちゃんとデキちゃってるんだもんね。あの顔で、そんな異常なのが好きだったら、知り合いの風俗にでも売っちゃおうと思ったんだけど…。あの子なら、いい値段で売れそうだし。」


あたしは異常?!


あの時、全部を話した時に言ってくれた言葉は…?


今までの言葉は…??


……全部嘘だったの??……


< 277 / 298 >

この作品をシェア

pagetop