スピン☆オフ
「性別男だぜ?」


「はぁ?」


びっくりとしか言いようがない。


だって、どこからどう見ても女の人だし…。


「ニューハーフだよ。」


だから、最初会った時の尚吾の態度がおかしかったんだ。


呆れたような、怒っているような感じの様子だったんだ…。


「風俗で働いてたのは?」


「男専門。爺ちゃんに、そんな趣味があったとは驚いたよ。だから、財産をそんな奴にあげたくないって親戚連中が騒いだんだよ。」


…唖然としか言えない。


「昔、付き合ってたって…。尚吾と体の関係は?」


「途中までは…。オレも、気付かなかったし。」


もう、怒りとか憤りとかなんてない。


ビックリと唖然と…。


驚いちゃって。


「あは…あははは。」


驚きすぎて思わず笑っちゃった。


だって、お姉さんが男だったなんて。


笑ってるはずなのに、涙が溢れて止まらない。


お姉さんの言葉にはショックだったけど、それでもどんな理由でも大事にしていてくれたから。


それに、今ならお姉さんの恋心も良く分かる。


自分はもう結ばれる事なんかなかったらって…。


あたしだって同じ様にしてしまう。


「ど、どうしたんだよ?」


突然、笑いながら涙するあたしに、動揺してる尚吾。


「だって…あたし、尚吾に嫌われたんじゃなかったんだって思ったら、安心しちゃって。」


ドンッと軽く、尚吾の胸を叩いた。


「誰が嫌うんだよ?!」


「だって、昨日冷たかったし…。」


「あれは、唯が触るなって言ったから……。オレだって、我慢してたんだ。」


バツが悪そうに、照れている。

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