スピン☆オフ

周りは一瞬ビックリして注目したけど、すぐにいつもの他人のフリ。


だって2人でなんて意味ないし。


冬槻と霧生をくっつけるためのお食事会なんだから。


「どうして?せっかく霧生くんとご飯食べに行けるのに?」


不思議そうに首をかしげた。


「ほら、2人だと緊張しちゃうし。それに霧生くんとご飯食べに行ったなんて親の耳に入ったら、霧生くんのクビが飛んじゃうし…。
だから冬槻先生と霧生くんがご飯を食べに行ってる所に、たまたま遭遇したってことで。」


慌てて取り繕ってるから、自分が何言ってるかも分ってない。



だけど上手く理由を付けられた。



こういう時だけ親に感謝!!


「そうねぇ…。そう言う事なら…仕方ないわ。」


ちょっと気分の乗らなそうな返事。


だけどコジ付けだろうと無理矢理だろうと、なんとか冬槻が来てくれればいい。


お互い好き同士なんだから、来ちゃえばこっちのもの。


ウッヒャッヒャッヒャッヒャ。


心の中で怖い企みの笑いをしていた。


「じゃあ、分ったらメール下さい。」


机の上にあったメモ用紙にメアドを書いて渡した。


「分かったわ。」


ハニカンだような?


最初に見た楽しそうな笑顔じゃない。


どこか寂しそうな笑顔を浮かべていた。
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