スピン☆オフ
何回もドアを叩き、ずっと霧生を呼び続けて。
段々と声なんか出なくなって。
出てくるのは涙だけ。
ドアにもたれ掛かり、泣きながら叩くドアの音。
ドアを叩く音が小さくなっていく。
腕に力が入らない…。
「…霧生………。」
振り絞るような声。
その時だった。
…ガチャッ。
鍵を開ける音がした。
ゆっくり開いたドアの中には、重たい空気と険しい表情をした霧生が立っていた。
生きてた…。
安心したのも束の間。
あたしの顔を見るなり、崩れ落ちるように抱きついてきた。
「…ごめん。…ごめん。」
霧生…泣いてるの?
震えてる体。
声を押し殺して泣いてるのが伝わってきた。
「どうしたの?…冬槻先生と何があったの?」
震える体を優しく抱きしめると、抱きついてきた霧生の腕が痛いくらいきつくなってくる。