スピン☆オフ
それだけじゃなく、お兄ちゃんの激しい感情を見たのも初めてだった。


あたしが自分の部屋で寝てなかったから…?


何か怒っているのかと思ったけど、激しいのはエッチの最中だけで。


終わると、いつもの優しいお兄ちゃんに変わる。


それが毎日繰り返されていった。


---家に帰ってきて、もうすぐ1ヶ月過ぎようとしている。


大人しいあたしに、家政婦さんの警戒も緩くなっていた


お兄ちゃんがいなくても、家の中は自由に歩けるようになっていた。


「…なんですよ。」


家政婦さんが玄関で誰かと話してる。


リビングでご飯を食べてるあたしの耳に、相手の声は聞こえない。


家政婦さんの声だけは何とか聞こえた。


「病院の方に行って頂ければ…。」


家政婦さんの声だけで、病院の関係者か?


お父さんを訪ねてきた人だと思った。


「…です……霧生さん…。」


一瞬、耳を疑った。


いま家政婦さん


『霧生』


って、言ったよね?


霧生って…


あの霧生?


慌てて玄関に飛び出した。
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