・+◇【短編】White love letter
「あの‥」
「どうしたの?」
早足で歩く看護士さんに
置いていかれないように
早足で歩きながら私は言いました。
「佐宮葉月君は‥何歳からここに入院しているんですか?」
「ん-‥‥幼稚園の年長くらいからかしら。」
「そんなに?!‥今、何歳なんですか?」
「学校へ行けてたら高校2年生だから‥‥17歳ね」
―‥私と同い年だ。
あまりに長い入院生活に驚きました。
「そうなんですか‥」
「うん。‥それにね、葉月が中学生になった頃から、一度もご家族の方がお見舞いに来ていないのよ。」
少し歩くスピードを緩めながら
看護士さんは話しました。
「全く来ないんですか?!」
「ええ。お正月も葉月の誕生日も来なかったわ。
私達も家に電話したりはしたんだけど‥‥ご両親とも忙しい、って言って、結局お見舞いに来ないのよ。」
「そんな‥ひどい」
「‥葉月はね、いつも笑ってるんだけど‥‥本当はすごく寂しいんだろうなって、思うのよね‥」
――‥たった一人、病を抱えて、
11年間もの間入院していたあなたは、
どれほどの孤独を抱えてきたんだろう‥
看護士さんの話を聞いて
そんな思いが頭をよぎりました。
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