・+◇【短編】White love letter
「葉月小さい頃ここで遊んだりしたんだ?」
『うん。
入院する前の記憶ってけっこう曖昧なんだけど、
この湖だけは
父さんから言い伝えを聞いたせいではっきり覚えてる。』
「言い伝え?」
『うん。
‥この湖には言い伝えっていうか、伝説みたいなのがあるんだ。』
「伝説?」
『そう。この湖の中に転がってる石の中に、
ひとつだけ、太陽にかざすと透明に輝く石があるんだって。
そしてその石を持っている人はずっと幸せでいられるって言われているんだ。』
「幸せの‥石?」
『うん。‥伝説は伝説かもしれないけど、俺は探してみたいなって思って今日来たんだ。』
「すごい!!私も探してみたい!!!」
『‥小春ならそう言ってくれるって思ってた。(^^』
私達は服の袖をまくって
石を探し始めました。
私が横をみると
瞳をキラキラさせながら
夢中で石を探すあなたがいました。
頬には微笑が浮かんでいて
あなたがどれだけ
こんな日を待ち侘びてきたのかを表していました。
『小春っ!』
真剣に石を探していたかと思うと
あなたは急にくるっとこちらを向きました。
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