Run☆Love
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中3
夏
今年二回目の試合だった
『ヤバい!急がないと遅れる~!!』
中学でも陸上をしていたあたしは試合が始まる前のスタート位置に行く途中だった。
『急げ~!』
道を曲がった直後、
ガンッ
何かにぶつかった。
『いったー!』
勢い余ってしりもちをついてしまった。
顔をあげると男の人がいた。
「いっっー。あ、えと、だ、大丈夫?」
彼は痛そうに顔をしかめながら、でも心配しているように私に言った。
「あ、はい!大丈夫です!すみませんでした!あの、大丈夫ですか?」
「ああ、うん。大丈夫。」
すると、まだしりもちをつきっぱなしのあたしに、彼は笑って手を差し出した。
「あ、ありがとう…ございます。」
なぜか、素直に手を借りてしまった。
あたしが立ったあと、彼はすぐに立ち去ってしまった。
このときは
まだ、なんとも思ってないと思ったけど、
思い返せば、
このときから彼に惹かれていたのだろうか。