その妖、危険につき
「お前、一人暮らしだよな」

部屋を見てそう判断したらしい。図星だった。彼の問いに、はじめて自分がどんなに警戒が足りなかったかに気づいた。


「図星か。ちょうどいい」

言うが早いが彼は再びのしかかってきて唇を奪い、今度は容赦なく舌を入れてきた。


漫画とかにあるような、気持ちいいとか気持ち悪いとか、そんなことは考えられなかった。ただ、異常なくらい急速に体から力が抜けていった。


自分の体じゃないみたいに、まったく体が動かなかった。抵抗する力など、どこにもない。彼の手がブラウスの中に入ってくるのがわかったが、どうにもできなかった。
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