その妖、危険につき
「あんた、処女だよな?」

質問というよりも確認だった。とんでもない質問にぞっとしながら、決めつけられることが不快だった。図星だったけど。


「じゃあ待つか、あと二年くらい。こんな上物なかなかないからな…」

彼がぶつぶつと言う。それから私のほうを見た。

「おい、あと二年、生かしてやるよ。お前を食うのはそれからだ」

至極嬉しそうに宣言した彼の口から、牙のような歯が覗いていた。



ああ、この人は、いや、この…。



私はもう限界で、彼の闇に吸いこまれるように意識を手放した。



















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