その妖、危険につき

「俺の栄養分にやれるなんて幸せだろ」

「勝手なこと言わないでよ。だいたい、なんで二年…?」


昨日、あのまま殺されてたほうが良かった。自分の命があと二年しかないと知りながら、これからどうしたらよいのだろう。そんな夢も希望もない絶望の中で、どう生きていけというのか。

「人っていうのはな、月の周期が巡るときにもっとも力が強くなる。御馳走が一番美味くなるときまで待とうってことだ」

「月の周期?」

「そ。十九年で巡る。お前がこの世に生まれてから十九年。そこが一番お前の食い時ってことだ」
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