その妖、危険につき
よくわからないけど、とにかく私は十九歳になったときに一番おいしくて、だからそのときまで待つということらしい。なんか、家畜みたいじゃないか。


「恋はしたっていい。むしろどんどんしろ。味がよくなるからな。でも処女は守れよ。一気に味が落ちる」

彼は一方的に言いつける。最低だ。この人は――人じゃないけど――とにかく最低だ。


「あなたは何者?」

彼はまたにやりと笑う。どうして彼の笑みはこんなにも邪悪なものを感じるのに、艶やかに目を離せなくするのだろう。



「妖(あやかし)」

「あやかし? 妖怪ってこと?」

「まあ、そんなもんだ」

本当に、とんでもないものを家に入れてしまったらしい。
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