その妖、危険につき
廉のばかやろう。
早足で歩きながら、家でふんぞり返っているであろう廉に毒づかずにはいられない。私の背後では、私のペースに合わせて足音が鳴り響く。
何がいけないのか、私はやたら変な人に好かれる習性があるらしい。遭遇した露出狂や痴漢や変態さんはいったい何人いただろう。片手ではとても足りない。振り返ると際限なくて、今の自分を安心させる要素がどこにもない。
どうしてうちに帰る道は、人気のない道なのだろう。はじめからわかっていたことなのに、改めて嘆かずにはいられない。