その妖、危険につき
「じゃ、じゃあ…手当させてください」

思わず言うと、彼は目を瞬かせて、私のことをじっと見た。その瞳が闇のように真っ黒で、吸いこまれるかと思った。


「と、とにかく、待っててください。今、道具持ってきますから」

彼の手をほどいて立ち上がろうとしたけど、彼は離さなかった。

「そう言って、連絡されたら困る。そんなに手当したけりゃさせてやる。お前のとこ、連れてけ」

何でそんなに上から目線なんだろう。

「嫌ならさっさとどっか行け。もし救急車でも来たら、お前んとこ行って殺すぞ。ここに住んでんだろ」


私に向けられた瞳は恐ろしかった。もしかしたら、こういうのを殺気というのかもしれない。
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