その妖、危険につき





電車で真奈と別れて一人になった。改札を出て帰ろうと思ったところで、思わぬものを見てしまった。


廉だった。大学生くらいの綺麗なお姉さんといちゃいちゃしているように見えた。

見なかったようにしよう、と思って背を向けようとしたときに目が合った。一瞬お互い動きが止まり、先に反応したのは廉だった。



「ひなた、今帰りか?」

何の躊躇もなく私に声をかけ、近寄ってきた。隣の大学生の視線が私に突き刺さる。明らかに敵意しか感じない。
< 54 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop