その妖、危険につき
「いるのか、いらないのか?」

廉は二択で迫る。


「…いる」

私は勾玉を握りしめた。


「何かあったらすぐ行ってやる」


廉が私の頭を撫でる。その手が優しくて、私はまた少し泣いてしまった。廉は私が泣いた理由を勘違いしてるから、私がまた泣く意味がわからずに戸惑っているように思えた。

そんな姿が全然怖くなくて、私は少し心があたたかくなるのを感じた。このあたたかさの意味が、わかっていなかった。
















< 61 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop