その妖、危険につき
学校帰りにスーパーに寄って、廉が食べたいと言った麻婆豆腐の材料を買ってきた。

帰りに通る交差点の隅に見えるはずのない男の人が見えた。頭から血を流していて、腕が変な方向に曲がっていて、じっと下を向いていた。

さっと血の気が引く気がしたけど、首から下げた勾玉に触れると、少し安心した。


廉がくれた勾玉をするようになってから、変に目があったり、嫌な気を感じたりすることがなくなった。


廉に言われた通り、見えないふりをして交差点を通りすぎてから、やっぱりほっとした。手に汗をかいていて、緊張してたのだと思う。



そんなときに、後ろから肩を叩かれ、本当に心臓が飛び出すかと思った。大げさなほど肩がびくりと震えた。
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