その妖、危険につき


「あの、おかゆ食べられますか?」

できあがったおかゆをもってリビングに行くと、彼はソファに横になっていた。赤く染まったタオルが散乱していて、ソファも少し血がついていた。



彼はけだるそうに私に視線を動かした。


「胃に何か入れて、薬飲んだほうがいいと思うんですけど」

「ふうん」

彼は人ごとのような反応だ。


ソファの前のテーブルにお盆を置いて、横たわる彼を見た。痛むのだと思う。彼の顔には脂汗が滲んでいた。

「大丈夫ですか」

ブレザーのポケットに入っていたハンカチで、額の汗をぬぐってやった。

痛いんだろうな、と思っていたら、彼が突然私の手首を掴んだ。その力は、さっきと同じで強かった。
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