その妖、危険につき
吐き捨てるように言ったかと思うと、乱暴に顎を捕らえられ、逃げる間もなく、強引にキスされた。噛みつくように、獣のように。私は逃げられず、蹂躙される。


力が抜ける。立っていられない、と思ったとき廉の唇は離れ、私の腰が支えられた。

「泣き虫女」

呆れるような廉の声に少し安心する。ああ、廉だ、と思う。


廉は私をソファに座らせた。

「また、吸った?」

「そんなに吸ってないから安心しろ。俺も力もらって安定したし。てめえが気持ち悪いなんて思ってないから、いちいち泣くんじゃねえ」
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