その妖、危険につき
私を抱き寄せ、少しも性的な気配を感じさせない優しいその腕が、私の涙腺を刺激する。どうして廉は、私の求めていることがわかるのだろう。
こんなふうな優しさが、言葉が私にはどれほど必要だったか。
私には、廉のぬくもりが必要だ。廉の私に対する感情が、愛情じゃなかったとしても。だってこんなふうに抱きしめてくれる人なんて、誰もいなかったから。
どうしよう。廉は私を殺そうとしているのに。
どうしてこんなに廉が必要なんだろう。