その妖、危険につき
険しい顔で立ち上がると、廉はカーテンを乱暴に開けた。窓を開けて外に出て、ベランダから身を乗り出すように外の様子を見た。


それからすぐに戻ってきて、大股で私のほうに向かってくる。相変わらず眉間にしわが寄っていて、足がすくんで動けない。

廉は私の腕を引っ張って、自分のほうに引き寄せた。抱きしめられた、と思ったには一瞬で、首筋に柔らかなものが触れた。どきりとしてますます動きが取れなくなる。



「なっなな…、ちょ、れ、廉?」

「匂うな」

呟いた声とほぼ同時に、首筋にちくりと痛みが走った。
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