その妖、危険につき


それってつまり、あやかし、てことだろうか。顔がこわばる。こわい。


「んな顔すんじゃねえよ。心配すんな、俺が守ってやる」

強い瞳に思わず頷きそうになる。廉には、私への心なんて少しもないのに。勘違いしてしまいそうだ。



それでも、廉のあたたかさに、廉の心臓の音に、恐怖でこわばっていた体から力が抜ける。気を張っていた心が落ち着く。



今だけは、それでいい。そう思って、廉の力強い腕に体を預けた。
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