その妖、危険につき
校舎を出ると、空は暗くなり始めていた。図書室に寄っていたら、すっかり遅くなってしまった。


バッグの中で携帯が震える。廉からの着信だった。

『もう家か?』

「ううん、今から帰るとこ」

『はあ?』

廉の声に苛立ちが感じられた。


『俺、今日遅くなんだけど』

「わかった」

『わかった、じゃねえよ。気をつけろって言ってるそばから一人になんじゃねえよ』


廉の呆れ声。どうやら廉は、俺様キャラに似合わず心配性らしい、というのは、最近わかりつつあった。

案外、人を放っておけないタイプらしいのだ。
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