その妖、危険につき
廉の言葉をひしひしと肌で感じることになるなんて、思っていなかった。電車をおりてから、後ろから感じる気配に怯えていた。
背筋に走る悪寒が止まらない。一刻も早く帰りたいのに、体が震えてしまっていた。
この感覚はいったい何なのだろう。この前とは、違う。
怖い、怖い、怖い。
ほとんど駆け足で人気のない道を進む。
ふ、と風が吹いた気がした。嫌なかんじがした。ほとんど反射的に振り返った。
瞬間、首筋を何かがすり抜けた。強い風だと思った。だけどその後には、かすかな痛み。