その妖、危険につき
痛みの部位に触れると、濡れた感触がした。
よくわからないまま掌を見ると、赤かった。血だ。
不思議なもので、血を見たとたんに首筋の痛みが鋭くなった。取り乱さなかったのは、あまりにびっくりしてしまったのと、目の前の影のせいだ。
影の先を視線で追いかけると、人とよく似た、別の生き物がいた。
私は声を出すこともできず、身動きもとれなかった。
たぶん、はたから見れば目の前の生物は、人間にしか見えなかったと思う。
私が人間だと認識できなかったのは、相手の放つ異様な雰囲気のせいだった。
かたまりかけた血のようなどろどろとした雰囲気。異様さは廉と同じだけど、ただ闇を連想させる廉の雰囲気とは違った。
よくわからないまま掌を見ると、赤かった。血だ。
不思議なもので、血を見たとたんに首筋の痛みが鋭くなった。取り乱さなかったのは、あまりにびっくりしてしまったのと、目の前の影のせいだ。
影の先を視線で追いかけると、人とよく似た、別の生き物がいた。
私は声を出すこともできず、身動きもとれなかった。
たぶん、はたから見れば目の前の生物は、人間にしか見えなかったと思う。
私が人間だと認識できなかったのは、相手の放つ異様な雰囲気のせいだった。
かたまりかけた血のようなどろどろとした雰囲気。異様さは廉と同じだけど、ただ闇を連想させる廉の雰囲気とは違った。