時を渡る彼ら
その頃、五月原高校に二人の生徒が残っていた。
下校時刻は既に過ぎており辺りに人影は見られない。
屋上――

「未だに動きはありませんね……」

誰かが、青いノートパソコンの画面に向かいながら言った。
その側にもう一人、長い黒髪の少女がいた。

「この辺りに間違いは無いのね?」
「ええ先輩。ここ数日に7件もの歪曲現象が起こっていますが、位置を把握するとこの高校を中心とした周辺地域に特定できます。だから、ここと断言してもいいと思います」
「引き続き調査を続けなさい。もし結果が陽性ならいつでも呼んで。私はしかるべきに備えて力を蓄えておく……」
「了解しました、先輩」
「ところで、パルスの所在はまだ分からないの?」
「分かったのは分かったんですが……。発見したのは一般人だったみたいです。言いすぎると正体がバレかねませんし……」
「名前は?」
「確か相沢悠……だったかな」
「分かった。明日私が上手くやる」
「契約しちゃってたらどうするんですか?」
「その時はその時。契約通り従ってもらうわ。引き続き調査頼んだわよ。ハレン……」
「了解です。先輩……」


第2章に続く…。
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