SECRET×CROSS

次は歩き方のレッスンだ。

「亜希は前からこんな歩き方を
 していたんだよね。
 私ずっと気になっていたの」

姉は私の歩き方の真似をした。

自分で言うのも何だけど酷い。
まるで親父みたいな歩き方だ。
しかも前からって…。
私気づかなかった。

それに…。

「美希ねぇ気づいてたなら
 なんで教えてくれなかったの?」

「自分で気づくかなって…
 そしたら私が忘れてた」

姉は笑いながら言う。
こっち側から見ると全然笑えないが。


「今教えた通りに歩いてみて。
 鏡の前で。」

部屋の中にある全身が写る鏡を見る。
そういや私自分の全身の姿を
鏡であまり見たことがない気がする。


私は鏡の前で歩く。
そこに写ったのは私じゃない私だ。
こんなに辛い姿勢なのに
鏡の世界の私は凛々しい姿だった。


私今までこんな姿じゃなかったのか。
普段の生活でも…。

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