SECRET×CROSS

衣装に着替えた。
しかしいつも通りの衣装だ。
これだけでは何の撮影かよく分からない。

メイクもまだ完璧でもないので
リップをちょっとつけただけである。

まだメイク道具を区別できてない
私にはリップを塗ることしかできない。


「お待たせしました」

私がメイク室から出ると
姉はすでに待っていた。

何か早くない?
でも姉の方がメイクがしっかりしているので
私よりは時間がかかるはずだ。


「亜希遅くない?」

「え?…そうかな?」

「亜希の方がメイクも着替えもすぐだと
 思うからすぐ用意はできている
 と思うんだけど」


姉は鋭い顔つきで私を見る。
今まで私にはこんな顔見せたことない。
何だか怖くなってきた。

どうやら姉は本気のようだ。


「ごめん…」

とりあえず謝った。

「スタッフさんも時間に余裕がある
 訳じゃないから
 準備はすぐにしといてね」

「はい…」

思わず私は敬語で返事をしてしまう。


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