SECRET×CROSS
控室にはたくさんの椅子と
机があった。
すると、姉は私の前に椅子を持ってきた。
「疲れたでしょ?
とりあえず座って」
すぐ私の状態に気づいてくれた。
まるでエスパーみたいだ。
私はお構いなく椅子に座る。
「やっぱずっと疲れるのは辛いでしょ?
私も新人時代はそうだったよぉ。
でも慣れればこれぐらい何とかなるよ」
つまり姉は全然平気ということか。
何か羨ましい。
そうだせっかくだから
この撮影の目的を教えてもらいたい。
「美希ねぇ、今日の撮影の
テーマって何?」
「……まだ言えないなぁ」
「え?どうして?」
「そしたら亜希頑張れないじゃんっ」
いや、私は精一杯頑張っているつもり
なんだけどなぁ。
「まだ後ろ向きな気がする
亜希ならもうちょっと前に出ても
いいんじゃないかな」
え?前に出ろ?
「とりあえず今私が
教えられるのはココまで
あとは自分で考えてごらん」
これだけのヒントで私は撮影を無事
終わらせることができるのか。
私は少々心配になってきた。
でも姉は私を信じてくれているのだと
思う。だからあえて答えは言わないのかも
知れない。
なら精一杯の気分で撮影に臨もう。