教師×教師 〜大人のようで子供な二人〜



<大輝Side>


「4組……


今朝やっと入籍して、杏利が俺のものになった。

俺はやっとだと思うけど、杏利はあっと言う間だったという。

朝一で高橋先生に冷やかされ、卒業式が終わった最後の学活まではクラスの奴らには言わないことに決めたから、朝はひたすら左手を隠した。

普段から癖で話してる時は左手か両手がポケットの中に入ってるから不振がられずに済んだ、

卒業もいよいよ終わりに近づき、送別の歌で在校生が卒業生へ向けて歌ってくれている時、うちのクラスの一人の男子が在校生が歌う歌を口ずさんでいた。

それは1年、2年の頃実際にこいつらも卒業生へ向けて歌ったこの学校伝統の曲。

その姿に今日は泣かないと決めて必死に堪えていた涙が溢れそうになった。

視界が滲む…成長した生徒達の姿をもっと目に焼き付けおきたいのに。

こいつらがいなかったら俺は杏利と同僚以上の関係になれなかった。

だから感謝でいっぱいなんだ、だからしっかり皆の姿を目に焼き付けるために…涙を堪える。



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