好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
「今日はどこに行くんだろうね」

「さあ…行けるところは限られているからね」

「?」


私はまだその言葉の意味を知らずにいた。


「あ、姫と王子だあ! おーいっ!」

待ち合わせていた駅の改札前に、目に刺さるような蛍光色のワンピースを着たギャルがはしゃいで手を振っていた。

その横……に美紀の彼氏の姿は見えない。

「あれ? 彼氏さんは?」

「あ、すぐそこのベンチに座ってもらってるよ」



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