好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
当然、彼女の家は古ぼけた小さなアパートの一室だったが

ドアを開けた瞬間、俺と同じくらいの歳の男が、彼女を出迎えた。


彼女に兄弟がいるなんて聞いたことなかった。


俺は気になって気になって

次の週の教室で、尾行したことを謝ってから

男の存在を問いただした。


彼女は少し微笑んで

「いとこなの」

と言った。


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