好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
第9章 つながり
ピーーーーー……
ヤカンが沸騰した音が鳴る。
彼は、インスタントコーヒーの缶を手に取った。
「砂糖ねぇや」
「あ、ブラックで…」
ぎこちない遣り取りの後に、やけに大きなカップを渡された。
喫茶店のコーヒーのような優しい香りはしないけれど
今まで飲んだコーヒーの中で一番おいしく感じた。