好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
「あらっ! せーちゃん風邪かしらっ」

「分からないけど、少し横になりたいの」

「分かったわ。今日はもう寝なさいね。ママから先生に言っとくから」

「うん…ありがとね。ママ」


フラフラとつたない足で階段を上る。

心配そうに見つけるママの視線を背中に感じながら、

私は二階の部屋に入るまで、仮病うまく演じきった。


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