好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕

淳の言葉が急に重みを持った気がした。

「だから他のところで働きたくても、働けないんだよ」

「……その人のこと、よく知っているの?」

私もいつの間にか淳の話に夢中になっていた。


「ああ、知っているさ」


私と淳は、気がつくと、そのコンビニの前までたどり着いていた。


「俺はね、悪いことをしながら、こうやって平然と顔をさらけ出して働いている奴のことが、面白くてたまらないんだ」

まだ淳は大事なことを隠しているように思えた。

< 35 / 263 >

この作品をシェア

pagetop