好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
第4章 恋い心
店内には早すぎるクリスマスソングが流れていた。
私は、普段食べない袋菓子やペットボトルのジュースを胸に抱えてレジへと向かう。
バラバラっと台に置いてから、ゆっくり顔を上げた。
彼はただ黙々とバーコードを読み取っている。
見るだけで精一杯で、何も言葉にできない。
いつものように朝の店内は騒々しくて、すでに私の後ろには人が並んでいる。
できるだけ、彼の手が触れるように
いつも千円札、を渡す。