幸運の小さいおじさん
妹と会話する幸せ

さあて、これからどうしよう?

まず、プラスティック容器の床のままだと可哀相なのでタオル地のハンカチを敷いてやった。

「うん、快適だな。」

どうやら喜んでくれているようだ。なんだか僕まで嬉しくなるから不思議だ。
良い事思いついたぞ。

「おじさん、ちょっと待ってて。」

そう言い残すと、小さいおじさんを入れた虫かごの蓋を、逃げられない様にきっちり閉めて、部屋を後にした。

部屋から出て数歩の階段わきにある5歳下の女子高生の妹の部屋をノックする。妹と話すのも、いつぶりだろう?

「はあい。」

「ちょっと、いいかな?」

ドアを開けたのが僕でビックリしているようだ。驚きすぎて、椅子から落ちそうになってるんだけど。

「へ?な・・なに?お兄ちゃん?!」

キモイって言われたら、どうしようって思いながら

「あ、あの・・・、莉那が小っちゃい頃、集めてたミニチュアハウスのとか捨てちゃった?」

「へ?あるけど。・・・そんなん、どうすんの?」

思いっきり眉間にシワ。だけど、変に思われて当然かもしれない。引きこもりの兄にいきなりそんな事言われたら。

「いや、ちょっと。貸してくれないかなって」

「別に、いいけど。何に使うの?」

「ちょっと興味あって」

「ふーん?まあ、いいけど・・・」

妹は、ちょっと考え込む様にしていたが快諾してくれた。押し入れに綺麗なまましまってあるのを取り出して見せてくれる。


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