幸運の小さいおじさん

ミニチュアハウスに飾られた家具の中から必要そうなものを物色する。
テーブルとソファを借りる。あ、ベットもいるかな?とりあえず、その3つを手に取る。

「ありがと、莉那。借りるね。」

「あ、お兄ちゃん。貸す代わりに・・・今度のテスト厳しいんだ、勉強教えて。」

「うん、いいよ。」

「本当?やった」

「あ、じゃ、明日とかでもいい?」

「うん、もちろん。」

時間を約束して、お礼を言ってから妹の部屋を後にした。

久しぶりの兄妹の会話だった。ちょっと嬉しかった。

勉強教えるなんて、小学校以来だ。
以前は、勉強を教えたもんだ。

なんだか照れくさい。

小さいおじさんが現われなかったら、妹と会話する事も無いままだっただろう。

妹と話せた事でテンションもあがる。
妹と話すなんて何の事はない日常かもしれないが、今の僕にとっては大事件だ。
なんとなく幸せな気分だった。

日常が日常じゃ無くなっている事に気付いた。
腐ってんな、我ながら。

そんな自分に嘆きながら、部屋に戻る。

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