また恋をした
 
雨の音が、つんざくように耳に響く。
 
心の叫び声のようであたしは耳に指を突っ込んだ。
 
外耳炎の耳はズキズキと痛み、あたしの心の痛みがそちらへ移ったかのように持続的に痛んだ。
 
 
 
「別れよう」
彼のメールは、冬の雨よりも冷たかった。
 
隣に並んだ友だちが、あたしの頭上に傘を差し出したがあたしはそれを優しく押し返した。
 
 
 
「ありがと」
消え入りそうな彼女へのお礼は、雨にかき消されずに済んだ。
 
 
 
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