涙龍
第一章
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ーー…
「りん、行くぞ」
拓真があたしに呼びかける
「いや、絶対にいやだ!!」
それをあたしが断る
さっきからその繰り返しをずっと続けている
正直のところ…もうあきた
…だいたい拓真が悪いんだ
急にひとを呼びやがって
こっちだってひまじゃないんだよ
「いまから、チーズケーキ買いに行こうと思ってたのに」
ポツリ、そう呟くと拓真は考え込んだ
そこに運良く…いや、悪く
潤(じゅん)と大雅(たいが)がきた
「迎えにきたよ~…」
潤が止まって、
「潤、どうした?」
大雅が止まった。
二人とも口をぽかんと開けて拓真を見ていた
潤はそれだけでかっこよかった
大雅もかっこよかったけど、その顔はまさに「変態だった」
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