涙龍
「りん…父さんがいるよ」
「うそつき」
「大丈夫だ、離れなんかしないから」
じいちゃんのことばが、あたしを歪ませる
「どうせ離れてくんでしょ!?あたし、ずっと独りなんじゃん!!っもういい…」
言い終わるとすごい音がして、頬があつくなった
「…いつまでも甘えてんじゃねぇ」
翔さんのドスの利いた声が聞こえて、上を見上げると、じいちゃんに押さえられた翔さんがいた
「…」
「出てって追いかけてもらおうなんて思ってんじゃねぇだろな」
「…」
「誰も追っかけて来ねぇぞ、甘えんな」
翔さん、さっきのすごい効いたよ
「でもね」と、あたしは笑いながら続ける
「知ってるよ、翔さん」
「知らねーだろ」
知らなかったらどんなに良かったか
だけど、どうやったってあたしは知ってるの
「知ってるんだよ。甘えてたのは前のあたし」