涙龍





バイクで走ってる時に




「俺、葵って言うんだ」


と、彼は言ったがあたしは聞こえないフリをした



そう、世間一般にいう“無視”だ




さっきはいきなりでまだ大丈夫だったけど、やっぱダメだな男って








オトコは、苦手だ







―…「ほら、着いた」



「…ありがと」




どうやら、さっき見た倉庫は違う倉庫だったみたいで



葵が来てくれてよかったって思った





あのまま走ってたら…なんて考えただけでも苦笑いがこぼれた






「んじゃ行くかー」



「ん」



あたし達は倉庫に向かった






…着いたのはいいけど、それにしてもでかい







「開けるよー」



「うん」







ギギギ、金具のさびた音がしてドアが開いた







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