涙の海
最終章・覚醒
「先生、手術は成功したんですよね!?何故真理は目覚めないんですか!?」

白衣を着た男性は俯きながら

「手術は成功しました。ですが、あとは彼女の気持ちしだいです。彼女が目覚めたいと願えば奇跡は起きます」

私は病室で横になっていた
身体には幾つもの管
頭が痛い

だが、全てを思い出した

私の名前は<水野真理>
早くに両親を亡くし、孤独といつも一緒だった
そんな私に初めて優しくしてくれた彼、<江森裕也>と交際していたが、彼の裏切りによって崖から海に身を投げたのだった
・・・それでも彼を愛している

「真理・・・君が目覚めるなら僕はもう二度と君を裏切らないよ・・・約束だ・・・だから目を覚まして」

彼は泣いている
夢の中でも泣いていた
私は意識こそあるのだが身体がまた目覚めない

「真理・・・真理・・・」

だがそのうちに私は完全にこちらの世界に戻ってこれた

「・・・本当に・・・もう裏切らないでね・・・?・・・約束・・・だよ?」

「!・・・真理!真理!目覚めたんだね!ごめんよ、真理!もう離れないでくれ!」

今度は嬉し泣きだ
あの時偶然にも笑顔になったときのように
これから私は幸せになれるだろうか


いや、ならなければいけない
彼らに心配させないように・・・
私の感情達を



アルバート
私の知性
その経験から私を守ってくれていた
あなたが他の仲間達をこれからも導いていけるように、私はもっと知識を増やしていくね

リックは私の恐怖心
傷つけられる恐怖から固い殻に篭っていた私自身
これからも恐怖はいろんな形で私を襲うけど、そのたびにあなたを思い出せるね

フェイは私の優しさ
私の優しさは私自身驚くほど大きかった
あなたが消えてしまわないように私、いつまでも人に優しくできるようにするね

最後にウェイク
彼を愛する心
他の何よりも強く私でも抑え切ることができなかった感情
ありがとう、あなたのおかげで私、また彼に会えたよ



それにしても裕也はまだ泣いている



あのアクアガーデンは彼の涙だったのかもしれない
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