涙の海
同情
しばらく私は夢のことも忘れ泳いでいた
アクアガーデンは綺麗な場所で、とても安心して遊べる
しばらく泳ぐと

「マリン〜、ここだよぉ」

友達のリックの声だ
リックはとても臆病なカニで、なにかあるとすぐに隠れてしまう
それが面白くていつもからかってしまう

「リック!後ろにサメ!」

ひぃっ、と声をあげるとリックは岩の間に身を隠した

「あははは、いつもの冗談よ」

リックは恐る恐る顔を出し

「も〜!やめてよぅ!」
とハサミを振り回してすねている

「ごめんね、でも面白くて!はい、これお土産の貝殻」

リックに趣味で集めてる貝殻をあげると、すぐに機嫌を取り戻した

「ありがとう、マリン!」

こうして私達はいつものように遊びはじめた
しばらくするとリックが

「ねぇ、マリン。最近もまだ夢を見るの?」

と尋ねてきた
すっかり夢のことを忘れていた私は一瞬戸惑ったあと

「うん、でも気にしないようにしてるから」

と、遊び続けた

リックとひとしきり遊んだあと、一匹でアクアガーデンを泳いでみることにした
リックにはああ言ったものの、やはり夢のことが気になってたので考える時間が欲しかったのだ

「私、昔はあの人間ってゆう生き物だったのかな」

いろいろと考えていると近くに大きな魚が泳いできた
友達のフェイだ
彼女はシロナガスクジラでその大きな身体と優しさでみんなから慕われている
もちろん、私も母のように思っている
母のいない私には大事な存在だ

「あらマリン、こんにちは。なにか悩み事?」

私はどうやら顔にでやすいようだ
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